マンションは、高額な買い物だけあって、そのパンフレットは高級感(高品位)が求められます。そのために用紙に風合いのある特殊紙を選んだり、表紙にエンボスや箔押しなどの特殊加工をすることがあります。サイズを、規格のA4より大きい変形サイズにすることもあります。
今回は、イメージキャラクターとして神戸に縁のある某有名女優を起用することになり、今まで以上に力が入っています。こちらのマンションシリーズでは、初めてのことです。
『今回は、制作側もクライアントも、かなり気合が入ってる』と事前にお客様から聞いており、どのような特殊なことをするのだろうかと、戦々恐々とした心境でお題を待っていました。待ちに待った連絡が入りました。特殊加工ではなく、サイズをパンフレットとしては特大のB4判で、しかもヨコ長サイズ(通常は、A4判タテ長サイズ)を作成するということです。表紙には某女優の写真が、大きく扱われます。
製本業者様を探す
取引のある製本業者さん数社に当たってみたところ、B4サイズのしかもヨコ長は特殊で、大阪では出来るところが無いのではないかと言われました。通常の製本機では無理なサイズなのです。
B4サイズでもタテ長なら出来るということでお客様に相談しましたが、デザインのレイアウト上、どうしてもヨコ長にこだわりがあるようでした。確かにヨコ長の方が左右に渡って大きく見せることが出来て、豪華に感じます。
今回のマンションの物件は特に高級で、クライアント様もいつも以上に力が入っているようです。これは是非実現したいと、更にお付き合いのあるいくつかの加工業者さんから、情報を集めてみたところ、ある業者さんが心当たりがあるということで、紹介してもらいました。
無線綴じ
一般的なパンフレットの製本方式には『中綴じ』と『無線綴じ』があります。中綴じは、針金でとめる方式で、これに対して無線綴じというのは、背中の部分を糊で固める製本方式です。中綴じの方が、安価でより一般的ですが、無線綴じの方が多くのページに対応できる、高級感があるといった長所があります。
コンタクトを取る
工場長という方に、まず電話してみたところ、可能であるとの返事でした。内心で『やった』と思いながら、金額や納期のことなどを相談してみました。でもそこは特殊な製本をしているだけあって、出来るものは出来る、ただし無理なことは無理と、キッパリした返事をされました。曰く、特殊なラインを組むので、日程さえもはっきりしないと立てられないそうです。
もし納期が厳しい場合、通常だと頭出しといって初回に必要な部数だけ、例えば全部数が1,000部でその内500部だけ急ぎで先に納品してもらうこともあるのですが、B4ヨコ長の場合は、1,000部と500部では最初から仕込みのやり方が違うので、無理だと言われました。
とにかく会って話をしないと進まないようだったので、後日改めて訪問する約束で、いったん電話は切りました。
大阪で1社だけ
どうやら大阪で出来るところは2社あるけれど、そのうちの1社は書籍専門の大きいロットを中心にしているので、つまりのところ、その1社だけしか大阪では対応できないようです。
訪問して打ち合わせ
応接室に通されると、いろんな特殊な製本サンプルがあり、B4ヨコ長製本のサンプルも見せていただきました。きれいな仕上がりで、安心してお任せ出来そうでした。話を聞いていても、品質面ではきっちりしているようです。ただし納期は4日必要とのこと(通常の倍以上)。このお客様の仕事は、毎回納期は絶対なので、いつも以上にデータの入稿と印刷の日程調整をする必要がありそうです。
再度、訪問して打ち合わせ
折り方が通常の順番と逆なので、確認のために、校正を持参して打ち合わせに行きました。見通しの絵柄も折って確認し、全体を丁寧にチェックしてくれました。工場長は、最初の電話の印象では、しっかりしている反面、頑固そうなイメージでしたが、相談を持ちかけると、大変親切に対応してくれる方でした。
立会いはNG
マンションのパンフレットは見通しの絵柄が多く、いつも念のために製本する時に立ち会って、仕上り具合を確認するようにしているんですが、こちらは企業秘密のノウハウがあるために、見せられないとのことでした。
納本
納期も打合せ通りに上げてくれました。工場長、なかなかの男前です。仕上がり具合もきれいで、何の問題もありませんでした。ちなみに、マンションの売れ行きは好調らしいです。